「実測図講習会」 

北上山地民俗資料館では、民俗資料を記録保存するための実測図の作製方法について学ぶ講習会を開催しています。当館では平成6年の開館以来、実測図の作製を継続して行っています。これまでに、中学生を含む70名以上の作図者が携わり、約2,000点の実測図が完成しています。作製された実測図は保存のほかに閲覧用にも整理しています。そして調査研究の目的にあわせて、「資料館だより」や企画展の報告書などの印刷物やHPなどでも活用しています。


           平成22年度「実測図講習会」の様子

12月11日、1月22日、2月1日

講師は、当館名誉館長でもあり、岩手大学で博物館学を教える名久井芳枝先生です。今年度は見学者を含めて6名が受講しました。

 

「実測図」の役割(名久井芳枝先生の解説より)

実測図とは、民俗資料をきちんと計測して図面化したもので、民俗資料の素材、構造、製作技術、外形などの情報を伝達することができます。実測図には、次の3つの役割があります。「記録保存資料」として、未来の人たちへの情報伝達。「啓蒙資料」として、一般の人々への情報伝達。「学術資料」として、研究者への情報伝達。

実際の作業は?

まずは作図する民俗資料の正面を決めて固定し、基準線を設定します。定規などで計測しながら、三角スケールを使って方眼紙に元図を作成します。元図を描き終わると、トレシングペーパーにトレスして完成となります。スケッチ画とはちがい、計測しながら作図するので根気がいる作業となりますが、昔の人たちが生活や仕事で使ってきた民俗資料を見つめるうちに、使った痕跡、年号の刻み、あるいは木目から木材のとの部分を利用したのかなど、さまざまなことに気付かされます。



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