伝統的食文化伝承講座「食の匠に教わる麦ぞうすいと豆しっとぎ」  平成27年12月11日(金)

北上山地民俗資料館では伝統的食文化伝承活動講座として、雑穀を使った料理や昔のおやつなど、地域に伝わる伝統的な郷土食について学習会を開催し、その材料や作り方などを記録しています。今回は「麦ぞうすい」と「豆しっとぎ」の作り方を、16名の参加者が平成26年度岩手県「食の匠」の認定者である神楽栄子さんから教わりました。

麦ぞうすいの麦はオオムギです。『川井村郷土誌』には「麦ぞうすいは麦粥と味噌汁を炊きこんだもので、満腹感があり美味である」と紹介されています。豆しっとぎは昔はモチ粟の粉と青豆で作り、味付けも塩味だけでした。旧暦6月15日の「ウマっこつなぎ」などの年中行事や、秋冬の夜食として食べられてきました。どちらも後世に伝え残していきたい、大切な郷土食です。


「食の匠に教わる麦ぞうすいと豆しっとぎ」の様子から

 

農家でもある神楽さんは、材料をいかすことを心掛けているそうです。例えばコメはそのまま炊くだけでなく、粉にしたり麹にしたりすることでさまざまな料理につながると話してくださいました。

麦ぞうすい①

現在は押し麦を利用するのが便利です。30分ほど水に浸けてからざるに上げておきます。その間にダイコン、ニンジン、ゴボウはささがきに、ジャガイモは大き目に、凍み豆腐は短冊に切っておきます。

麦ぞうすい②

煮干し出汁で野菜を煮ます。ジャガイモが煮えたのを目安に、水を切った押し麦を鍋にいれます。再び煮立ったら醤油で味をつけ、とろみがついてきたら仕上げにネギを入れて出来上がりです。

豆しっとぎ

乾燥した青豆は一晩水に浸けておきます。鍋で適当なやわらかさになるまで煮ます。豆をつぶしてから、うるち米の米粉、砂糖、塩とこねあわせて棒状やかまぼこ状に成形します。この日は、青豆を昆布と塩水に「うるかして(浸して)」から煮た「うるかし豆」の作り方も教わりました。

できあがった麦ぞうすい、うるかし豆、豆しっとぎ(試食用に切分けたもの) 

麦ぞうすいは、押し麦のとろみで体があたたまりましたし、満腹感を感じました。時間を置くと水分を吸った麦がふくらんで量が増えてきました。昔はヒエと合わせた「ムギかて飯」にして食べられていたということに納得しました。

講師先生を囲んで

地域に伝わる「麦ぞうすい」、おやつや行事食として食べられてきた「豆しっとぎ」、青豆を使った「うるかし豆」。家庭でも作ることができそうと、参加者は大満足でした。

神楽先生、参加者の皆さん、ありがとうございました。

 



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