企画展開催にあたって
このたびの企画展では、明治、大正、昭和30年代まで、この地域で畑仕事や山仕事などで着られていた仕事着を紹介します。
当時、上半身に着ていたのは[みつか]や[長みつか]で、その下には[もひき]や[もんぺ]をはいていました。[みつか]は腰がかくれるくらいの着丈で[はんどう]とも呼ばれます。夏は[ひとえ]、寒くなってくると裏がついた[あわせ]、そして冬には[綿入れ]を着て、重ね着もしながら温度調節をしていました。
このような仕事着はほとんどが自家製で、「のの(アサの織物)」や木綿などで作られました。アサは畑で栽培し、取り出した繊維から糸を作り、[はったぎはたし]で織り、染料で染めます。織りあげた生地を裁って着るものに縫い上げますが、一枚の仕事着が仕上がるまでには、多くの時間と手間がかかりました。また、ワタが栽培できない当地では、木綿は古手木綿を買うなどして利用していました。生地を大切に使うため、着ているうちに擦り切れたところにつぎ当てをしたり、ほどいて縫い直したりしていました。
企画展では、こうした仕事着の他に、衣類の素材やはき物などもあわせて紹介しています。
衣類関係の聞き取り調査の様子(岩手大博物館学実習)
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