北上山地民俗資料館では、平成29年度に旧宮古市、田老町、新里村で収集された有形民俗資料を小国分館に集約し、現在あわせておよそ12,000点の資料について整理作業や台帳作成を進めています。今回の企画展では、市内全域から収集された有形民俗資料の中から、昭和30年代頃までの養蚕に使われた道具を紹介します。
宮古市内には56基の「養蚕供養碑」が確認されており、その分布から山間部の地域で養蚕が盛んだったことが分かります。また、養蚕の神さまとして知られる「おしらさま」は市内80軒以上で確認が報告されていますし、小正月の「ミズキ団子」は繭の豊作を願い行われてきた年中行事です。現在は市内で養蚕を行う農家はありませんが、畑の脇に大木に育って残るクワの木、あるいは当館に数多く寄贈されている養蚕用具とあわせると、かつて養蚕が盛んだった頃のことがよくわかります。
展示では、カイコのえさとなるクワの葉を摘む作業の道具やカイコの飼育道具のほかにも、養蚕供養碑の拓本や分布図、あるいは「おしらさま」など信仰に関する資料などを展示します。この機会に、かつて盛んに行われていた養蚕について、資料の数々をどうぞご覧ください。
(「第24回企画展ちらし」)
「カイコを育てた道具」展示の様子
わらで[三角まぶし]を製作する記録
|