まず川に石を並べて池を作り、[まんが]を使ってワラビ根を洗う。次に家の「にわ」に運び、ワラビ根を[打ち台]に載せ、[ワラビ打ち槌]で打ち砕く。このとき均等に打つために[返し箆]で根を返しながら行う。
二人以上で向かい合って声を掛け合い、調子を合わせながら打つ。ワラビ根の表皮が裂けて、中の白っぽい澱粉質を含んだ部分が多く現れてきたら、[さどぶね]に移す。「さどぶね」に水を汲み入れ、澱粉質を流して、[はんぎり]に溜める。水にさらしてそのまま一晩そっとしておくと、[はんぎり]の底に澱粉が溜まる。
[さどぶね]を使わず[はんぎり]を使用する場合もある。
また、ワラビ根のほかに、クゾフジ(クズ)の根からも澱粉をとったという。
「はな」を取り出したワラビ根のかすも材料として利用した。ワラビ根のかすから作った縄はフジやブドウで作った縄よりも硬くて丈夫である。しかし硬くて扱いにくく、綯う作業が大変だった。かつては主に[橋の綱]や[たわし]などを作るのに利用された。
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