かつての北上山地における農耕は畑作が中心であるり、本村もそのとおりと言える。夏場の冷涼な気候、斜面がちな土地の条件など、稲作に適さない自然環境であった。一部例外的に、小国地区では灌漑用水路(小国堰)が整えられ、比較的早くから水田が開かれていた。
 村内で本格的に稲作が行われるようになったのは昭和30年代で、このころから主食も徐々に米に変わった。そのため、この地に伝わる古くからの農耕用具は、主食であった雑穀類を栽培する畑作用具が中心である。

特徴的なのは、傾斜地の畑で使いやすいように工夫されたいわゆる「南部踏み鋤」や、ヒエの「じき播き」のための用具である。
鋤、踏み鋤、鋤台
鋤の先
鋤箆
鍬、鍬の柄
鍬、鍬台
平鍬
はも
馬耕
どっこい
肥立て、まんが
馬のもっこ
背負いもっこ
ねこがき
しゃぐし
肥汲みひやく
肥背負い樽
肥桶
肥担ぎ棒
種入れ
じきふり桶
肥注ぎ桶
ムギの土入れ
穴つき棒、金でこ
ぶち台
まどり  まどいり
アワ打ち槌
ふり打ち
のぎおし槌
とおし
箕、かば箕
唐箕
  量り桶
斗掻き
かます
せいろ
草刈り鎌、柴刈り鎌
まんが
えぶり、えんぶり
種入れ
しゃくし
唐鍬(とうが)
まどり
藁莚(わらむしろ
かます
藁(わら)打ち槌
莚(むしろ)はたし
筬(おさ)
莚はたし杼(ひ)

古くから使用されている用具は、田打ち用具を除いて、畑作用具と共通するものが多い。

田打ちさっか、三本さっか
くろ塗りしゃぐし
馬鍬、馬耕
背負いもっこ
ねがき
ゆびり
担ぎ棒
除草機
せんばん
脱穀機
のぎおし槌
唐箕
かます
きっつ
もんぱ
みつか、ながみつか
はんどう
もんぺ
もひき
みん、みぬ
かすぶ
腰鉈
腰鋸
つかり
わっぱ

著作権の表示 (C)宮古市北上山地民俗資料館